スマトラ沖地震10年、女性が自立し被災地に光
インドネシア・アチェ、少額融資で生活再建を後押し
2004年に推定23万人の死者・行方不明者を出したスマトラ沖地震・大津波から今年12月で10年となる。復興を続ける被災地には、心のケアと生活の再建が今も必要な人々が大勢いる。とりわけ、社会的立場の弱さゆえに、震災後の支援が行き届きにくいとされる女性たち。それでも、現地には津波がもたらした苦しみを乗り越え、自立へと歩み始めた女性の姿があった。
12万人以上が犠牲となり、最も被害が大きかったインドネシア北西部アチェ州の州都バンダアチェ。国際社会から大量の支援がつぎ込まれた結果、見た目では急激な発展を遂げた。地震前には貧困に苦しみ、国軍と独立派ゲリラ「自由アチェ運動(GAM)」の武力紛争で荒れ果てていた様子が、今ではうそのようだ。
市中心部から離れた海辺に近いアルナガ村は、人口約1500人のうち3分の2が死亡した。村に住むニラワティさん(42)は「津波後は何もできず、家で寝込むこともあった」と言う。だが、「悲しんでばかりではなく、新たな一歩を踏み出さなければ」との思いから、少額融資を申し込んだ。今は自家製ケーキを売り歩き、1日の収入5万ルピア(約450円)ながら家計を助けるまでになった。
この融資は、途上国の女性支援に尽力する日本の国際協力NGO「ジョイセフ」の協力などを受け、国際家族計画連盟(IPPF)インドネシア支部が行っている。10人単位でグループを組み、年間1人約1万円相当を貸し付ける。何らかの理由で返済できなくなっても、グループの仲間たちが肩代わりすることで、焦げ付きを防ぐ。女性の自立を粘り強く後押しするため、融資は3回まで利用可能だ。(バンダアチェ=インドネシア北西部=時事)