ASEAN、会議からのミャンマー軍排除検討
スーチー氏らとの面会認めず、特使への非協力にいら立ち
クーデター後の混乱が続くミャンマー情勢の打開に向け、東南アジア諸国連合(ASEAN)が合意した特使派遣が半年近く経過しても実現していない。ASEANは特使と全当事者の話し合いを求めているが、国軍は民主派との面会は認めない構え。いら立つASEANが今月下旬の首脳会議から国軍トップを排除する可能性が出てきた。
ASEANは4月、ミャンマーへの特使派遣や暴力の即時停止など5項目で合意。8月に議長国ブルネイのエルワン第2外相を特使に決めた。国軍と民主派の橋渡しを行い、紛争収拾につなげる役割が期待されている。
しかし、国軍は「裁判中の人物との面会は認められない」と主張。輸出入法や刑法などに違反したとして、訴追されたアウン・サン・スー・チー氏らとは会わせないという立場を示している。
国軍が強硬姿勢を続ける中、ASEANは首脳会議に国軍のミン・アウン・フライン総司令官を招くかどうか検討を始めた。クーデター後のASEAN会合は、4月の首脳会議に総司令官、外相会議に国軍が外相に任命したワナ・マウン・ルウィン氏が出席するなど、国軍代表が参加している。
だが、今月4日の外相会議で、マレーシアのサイフディン外相は「国軍の非協力的姿勢に失望した。進展がなければ首脳会議への総司令官の参加は困難」と指摘。エルワン氏は6日の記者会見で、首脳会議からの国軍の排除を「真剣に話し合っている」と語った。
域内各国の政治家らでつくるASEAN人権議員連盟は「国軍は約束を守らず、ASEANを軽視している」と非難。「会議からの排除や幹部の域内渡航禁止が必要。首脳会議は実行する絶好の機会だ」と訴えている。(バンコク時事)