東京株1カ月ぶり安値、原油高や中国不安が重し
7営業日続落、岸田首相の金融所得課税見直し検討も一因
5日の東京株式市場で、日経平均株価は大幅に下げ、7営業日続落した。原油相場の上昇によるインフレ懸念に加え、中国不動産開発会社の経営悪化を背景に売りが膨らみ、前日終値からの下げ幅は一時1000円に迫った。終値は前日比622円77銭安の2万7822円12銭で、8月30日以来、約1カ月ぶりの安値となった。
4日の米国市場では金利上昇への警戒感からハイテク株が売られた。「原油高を引き金にインフレ懸念が強まった」(銀行系証券)ことで、景気の先行きに対する不安が高まった。東京市場もこの流れを受け継ぎ、半導体関連株などが値下がりした。
中国の不動産会社をめぐる債務問題も影を落としている。中国恒大集団に続き、別の中国不動産開発会社でも期日に社債が償還できない事例が表面化。リスク回避の動きが加速した。
岸田文雄首相が金融所得課税の見直しを検討する意向を示したことも、投資家心理を冷え込ませる一因となった。株式の譲渡益や配当金への課税強化につながる可能性があり、市場関係者からは「経営者や大口投資家にとってネガティブ(マイナス)な話だ」(資産運用会社)との声が聞かれた。
日経平均の下げ幅は7日間で2400円超に達した。インフレや中国経済への不安は拭えず、先安観が強まっている。