26歳の三沢拓選手「挑戦者として自分の滑りを」


アルペンスキー立位に出場、雪辱目指して滑りを改造

26歳の三沢拓選手「挑戦者として自分の滑りを」

アルペンスキー男子立位に出場する三沢拓(中央)。1月のジャパンパラで優勝して笑顔を見せる

 「世界選手権で表彰台に乗れてないから、(この4年間)余裕が一切なかった」。アルペンスキー男子立位に出場する26歳の三沢拓(キッセイ薬品)は、3度目の大会で雪辱を果たすつもりだ。

 2010年バンクーバー大会には、前年の世界選手権で表彰台に上がった自信を胸に臨んだ。だが、得意の回転でまさかの転倒。ソチでの再起を目指した矢先、右膝を骨折する不運に見舞われた。

 6歳の時に交通事故で左足を失い、小学2年でスキーを始めた。中学まで野球を続けたときも、自分を支えてきたのは右足だった。幸い選手生命に関わるほどの負傷ではなかったが、シーズン中にベッドで過ごした日々は「初めてだったし、悔しかった」と振り返る。

 この間、母校・順大の仲間のことが頭に浮かんだ。けがなく、学生生活を送った自分とは対照的に、何度も手術しながら、地道に復帰を目指す姿を思い出した。「当時はかわいそうとしか思えなかったけど、同じ経験をして『あいつら強いな』と思えるようになった」

 故障をきっかけに練習方法を変えた。右足中心の強化から体幹を鍛える内容に。右足で踏ん張る従来の滑りより、上体が安定して転倒が減った。今年1月の米国大会では、回転の1回目でトップから0・5秒差の4位となり、滑りを改造した成果が表れた。

 目標はあくまで「一番いい色のメダルを取ること。それには挑戦者として自分の滑りをしていかないと」と気を引き締めている。