先進国に偏り「ワクチンのアパルトヘイト」


国連総会の一般討論演説で、アフリカ諸国から不満相次ぐ

先進国に偏り「ワクチンのアパルトヘイト」

23日、ニューヨークの国連本部で演説するナミビアのガインゴブ大統領(AFP時事)

 ニューヨークの国連本部で行われている国連総会の一般討論演説で23日、アフリカ諸国の首脳らが相次いで、新型コロナウイルスのワクチン供給が先進国に偏っていることに不満の声を上げた。ナミビアのガインゴブ大統領は「ワクチンのアパルトヘイト(人種隔離)」と表現し、一部の国で3回目の接種が進んでいることに「遺憾」の意を表明した。

 ガインゴブ氏は「(3回目の)追加接種の段階の人がいる中で、大勢がまだ1回目を待ちわびている」と指摘。「皆が安全にならない限り、誰も安全ではない」と強調した。

 英オックスフォード大研究者らのデータベース「アワー・ワールド・イン・データ」の22日時点の集計によると、少なくとも1回ワクチン接種を受けた人の割合は、ナミビアで9・6%、アフリカ全体では6・29%にとどまる。一方、既に3回目の接種を始めているイスラエルは69・14%、日本は67%を超えている。

 11日時点で接種率がわずか0・57%にとどまっているタンザニアのスルフ大統領は、ワクチンをめぐる不平等の現状は「ぞっとする」と述べ、余剰分は他国に供与するよう呼び掛けた。

 また、アフリカ各国首脳らはワクチン生産を促進するために特許権の一時停止を改めて要請。南アフリカのラマポーザ大統領も「世界のワクチンの82%以上を豊かな国が獲得した一方で、低所得国に送られたのは1%未満だ。人道への攻撃だ」とワクチン格差の是正を訴えた。(ニューヨーク時事)