距離スキー立位の新田佳浩、新しい家族のために


「頑張る姿を息子に見せたい」、5度目の大会に臨む

距離スキー立位の新田佳浩、新しい家族のために

距離スキーで5度目の大会に臨む新田佳浩(右)と妻の知紗子さんら家族=2月

 パラリンピックを2人の息子に見せたい。距離スキーの男子立位に出場する33歳の新田佳浩(日立ソリューションズ)は5度目の大会に臨む。日本選手団の主将を務めた2010年バンクーバー大会では2個の金メダルを獲得した。今回も表彰台を狙う。

 ストックを持つのは右手だけだが、伸びやかな滑りと、特に上りでのスピードが武器。前回大会では、得意のクラシカルで、10キロと1キロスプリントを制した。終盤に失速しない走りを求め、今大会に向けて、ピッチ走法の習得に取り組んできた。昨季は結果につながらず苦しんだが、「徐々に自分の物になりつつある」と手応えを感じている。

 3歳のとき、祖父が運転する農業用機械に左腕を巻き込まれて、肘から先を失った。小学3年生で距離スキーを始め、1998年長野パラリンピックに17歳で初出場。負い目を感じる祖父に晴れ姿を見せようと、ひたすら競技に打ち込んだ。

 バンクーバーで獲得した金メダルを祖父の首から掛けた時の感慨は忘れられないという。その祖父が2012年に亡くなり、競技への意欲を失いかけたが、新しい家族に救われた。10年に長男、13年に次男が誕生し、「頑張る姿を息子にも見せたい」と再び気持ちを奮い立たせた。

 今回は妻の知紗子さんと2人の息子が応援に駆け付ける。「自分を信じて、チャレンジャーの気持ちで臨む」。大切な家族の存在を感じながら、力強く走り続ける。