米無人機、ISのテロ阻止で民間人を誤爆か


アフガン首都で行った攻撃、米軍は「自衛措置」と説明

米無人機、ISのテロ阻止で民間人を誤爆か

米軍の無人機が空爆した現場=8月30日、カブール(AFP時事)

 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は10日、米軍が先月29日にアフガニスタンの首都カブールで行った無人機攻撃について、監視カメラの映像や関係者らのインタビューに基づき、民間人を誤爆した疑いがあると報じた。この空爆では一家10人が死亡したとされる。米軍は過激派組織「イスラム国」(IS)系武装勢力による爆弾テロを阻止するための「自衛措置」と説明していた。

 報道によると、空爆の標的となった自動車は米国に拠点を置く援助団体で働いていたゼマリ・アフマディ氏(43)が運転していた。同氏は空爆の当日、車で同僚を迎えに行くなどした後に出勤。自宅に持ち帰るため、ポリタンク数個に水を入れてトランクに積み込んだ。

 同日夕、自宅に帰って中庭に車を乗り入れたところ、ミサイルが直撃。アフマディ氏を出迎えた子供ら数人も爆発に巻き込まれた。同氏は難民として米国への移住を申請しており、ISとつながりはなかったと同僚らは口をそろえた。

 米当局者によると、無人機はアフマディ氏の車の動きを終日監視し、ISの「アジト」とみられる場所との間で行われた通信も傍受した。また、無人機の操縦者は、成人男性1人が車を出迎えたことを確認し、女性や子供を含む市民が標的の近くにいないと「ある程度の確信」を持った上で空爆を行った。

 米中央軍はカブール空港への「差し迫った脅威」を取り除くための自衛措置だったと説明。標的の自動車に積まれていた爆発物がさく裂した結果、市民に死傷者が出た可能性があると指摘した。

 ただ、専門家らが空爆現場の写真や映像を確認したところ、ミサイル着弾で車が炎上した形跡はあったものの、大規模な爆発による建物の損壊などは見られなかった。

 制服組トップのミリー統合参謀本部議長は記者会見で「正しい攻撃だった」と強調。「二次的な爆発が起きたことから、車に爆発物が積載されていたという妥当な結論に達することができる」と語っていた。(ワシントン時事)