米、報復でアフガニスタンIS系勢力に空爆
カブール空港テロの死者は180人超に、立案者殺害か
米中央軍は27日、アフガニスタン東部ナンガルハル州で、過激派組織「イスラム国」(IS)系武装勢力に対する無人機攻撃を実施したと発表した。同勢力は26日に首都カブールの空港で起きた自爆テロで犯行を認めており、空爆はその報復とみられる。
米中央軍は声明で「IS系勢力『イスラム国ホラサン州』(IS-K)の立案者に対する対テロ作戦を実施した」と説明。その上で「初期の分析によれば、標的を殺害した」と述べた。民間人の死傷者が出たとの情報はないとしている。
ロイター通信などによると、標的となった戦闘員は別のIS関係者と車に乗っているところを爆撃された。将来のテロ攻撃の計画・立案に関与していたとみられる。
米CNNテレビなどによると、カブールの空港ゲート付近で起きた自爆テロでは、米兵13人を含む計180人以上が死亡、200人以上が負傷した。バイデン米大統領はテロを受け、「事件を起こした者を許さず、忘れない。追い詰めて代償を支払わせる」と宣言。IS-Kに対する報復計画をまとめるよう国防総省に指示していた。
一方、米政府は新たなテロが計画されている可能性が高いとみて、最高度の警戒態勢を維持している。
サキ大統領報道官は声明で「今後数日間が最も危険だ」と強調。国防総省のカービー報道官も記者会見で「攻撃があることを予想している」とし、「こうした脅威をリアルタイムで厳密に監視している」と述べた。
駐留米軍の撤収期限が31日に迫る中、欧米諸国の市民やアフガン人協力者の退避作戦は大詰めを迎えている。過去24時間で約1万2500人が出国し、多くの国が退避作戦を完了。米国はこれまでに自国民約5100人を退避させ、残りは500人ほどになった。
サキ氏は、米国が退避作戦でイスラム主義組織タリバンと協力していることについて「タリバンは空港周辺を含む国土の大部分を支配しており、米国民やアフガン人協力者を退避させるにはタリバンと連携するしかないのが現実だ」と述べた。(ワシントン時事)