違法操業の外国漁船を規制へ、対策室を設置
水産庁が海上保安庁と連携、日本の漁業権を主張していく
水産庁が、日本の領海や排他的経済水域(EEZ)で許可なく操業する外国漁船などへの取り締まりを強化するため「外国漁船対策室(仮称)」を2022年度に新設することが27日、明らかになった。海上保安庁と連携して違法操業をやめさせるとともに、漁業権をめぐる国際交渉で政府内の調整を進める役割を担う。
日本の領海やEEZにある好漁場を狙い、中国や北朝鮮など外国漁船による違法操業が近年後を絶たない。違法操業は、イカやカニの漁場として知られる日本海の大和堆(やまとたい)や尖閣諸島周辺の海域で多く見られる。大和堆海域では、北朝鮮が自国のEEZ内と主張し漁を強行、20年ごろからは中国船がこの海域で操業するようになった。
水産庁によると、20年に同庁が退去を警告した外国漁船の延べ隻数は4000隻を超えた。大和堆海域での中国船に対する退去警告隻数は21年7月までの7カ月間で延べ564隻に上った。
水産庁は、海上保安庁と合同で外国漁船への放水訓練を実施するなど連携を一段と強化する。水産庁は「日本の領海やEEZ内で日本の漁業者が安全に漁ができないのは問題だ」と強調。違法操業を続ける外国漁船を排除し、各国・地域の政府に対し日本の漁業権を主張していく考えだ。