アフガニスタンのガニ大統領、去就が焦点に


攻勢のタリバンが辞任を要求、政府側は停戦を模索

アフガニスタンのガニ大統領、去就が焦点に

アフガニスタンのガニ大統領=6月25日、ワシントン(AFP時事)

 駐留米軍の大部分が撤収したことを受けて大攻勢に出ているアフガニスタンの反政府勢力タリバンは、14日も作戦を継続した。タリバンの部隊は首都カブール近郊まで迫っており、政府側は首都での戦闘と現政治体制の完全崩壊を阻止するため、停戦を模索しているもようだ。タリバンはガニ大統領の辞任を要求しており、ガニ氏の去就が焦点に浮上している。

 ガニ氏は14日の国民向け演説で、「さらなる不安定、暴力や避難民を防ぐため、国内外で広範な協議を開始した。まもなく結果を国民と共有できるだろう」と述べ、国民の懸念払拭(ふっしょく)に努めた。ただ、軍や治安部隊の「再動員」にも言及し、抗戦の構えは変えなかった。

 米国務省は12日、ブリンケン長官らがガニ氏と電話会談し、在アフガン米大使館の人員縮小などについて説明したと発表した。これに関しアフガン情勢に詳しい在米ジャーナリストは「ブリンケン氏が停戦と(タリバンを含む)暫定政権の樹立に向け、ガニ氏に辞任を打診した」とツイッターに投稿。アフガン大統領府高官は13日、「誤りだ。その議論はしていない」と火消しに追われた。

 インターネット上では、この他にも報道関係者によるガニ氏の去就をめぐる情報が飛び交う。タリバンが首都に肉薄する中、防衛のための選択肢として現実的なのは停戦だという認識が浸透しつつあるためだ。

 ガニ氏は米主導の和平プロセスの進展に慎重で、テロなどが起きるたびにタリバンを名指しで批判してきた。和平交渉に参加するタリバン幹部は7月の米メディアとのインタビューで、対立をあおることで自らの地位を保とうとしている「戦争商人」だとガニ氏を批判し、辞任しなければ交渉に応じないと述べた。

 タリバンは今月12日から13日にかけて人口第2位の南部カンダハル、3位の西部ヘラート、首都から約50キロのプリアラム、14日には東部シャランなど3都市と、州都を相次いで奪取した。9日間で34州都中21カ所を押さえ、カブールを包囲するように部隊を進めている。(ニューデリー時事)