大阪堂島商品取引所のコメ先物取引、廃止へ
試験上場開始から10年余りで幕、農水省が本上場を認めず
農林水産省は6日、大阪堂島商品取引所のコメ先物取引を常設市場にする本上場に関し、不認可とした。コメ先物は期限付きで試験的に取引されており、堂島商取は本上場の不認可を受けて、試験上場を打ち切る。上場廃止になり、試験上場開始から10年余りで姿を消すことになった。
堂島商取の中塚一宏社長は東京都内で記者会見し、「こういう結果が出たので完全撤退する」と強調。「(コメ先物は)堂島のシンボルであり、なくなるのは本当に残念だ。(市場参加者には)申し訳ない気持ちでいっぱいだ」と語った。
堂島商取は7月16日に本上場を申請。しかし、農水省は取引に参加する生産者らが十分に増えていないなどとして、「認可基準に適合しない」と判断した。
これに対し、堂島商取は農水省が5日に開いた意見聴取で、コメ先物取引に参加する生産者はこの10年で当初の2から66に増えたと反論。中塚氏は「農水省の指摘は全く当たらない。どれほど参加者が必要か明らかにしてほしい」と訴えたが、受け入れられなかった。
コメ先物には新潟コシヒカリ、あきたこまち、宮城ひとめぼれなど5銘柄がある。試験上場の期限は7日だが、多くの銘柄は来年6月の決済物まで上場しており、決済日まで取引を続ける。
江戸時代に大阪・堂島で始まったコメ先物は、世界最初の先物取引とされる。戦時の統制経済の下、1939年に廃止されたが、2011年に試験上場で復活した。
ただ、コメの生産・流通に強い影響力を持つJAグループや自民党農林族は当初から「主食のコメ価格が先物によって乱高下しかねない」と主張し、厳しい姿勢を示した。本上場の申請は17年、19年にも行い、今回が3度目だった。