ソチ五輪の聖火台近く、五輪公園内に墓地


「古儀式派」100家族以上の村、強制移住後も残る

ソチ五輪の聖火台近く、五輪公園内に墓地

ソチ五輪公園内の墓地の入り口を警備する治安部隊員。木立の向こうに聖火台が見える=16日(時事)

 ソチ冬季五輪の開会式が行われたメーンスタジアムやスケート、アイスホッケーの競技会場が集中する五輪公園。その中央付近に、木立に覆われた一角がある。聖火台から100メートルも離れていないが、実はこれ、墓地である。

 現在はフェンスで囲われ、入り口で治安部隊が警備しているため、中はうかがい知れない。周りには巧みに構造物が配置され、五輪観戦客の視線に触れないようになっている。

 五輪公園建設のため、古くからここにあった村の100家族以上が強制移住させられたが、墓地は残った。住民がブルドーザーの前に立ちはだかって抵抗したためだ。

 強制移転させられた村は、ロシア正教の異端とされる「古儀式派」の村だった。17世紀にロシア正教総主教ニコンの改革に抵抗し、主流派からの迫害を受けながら古い儀式や典礼を守り続けたのが古儀式派。墓地を守ることに成功したのも、脈々と受け継がれてきた抵抗の精神の表れかもしれない。

 地元ソチ在住の中年女性2人がわざわざ墓地を見に来ていた。1人は「墓地を残すなんて記念すべき祭典への冒涜(ぼうとく)」と憤慨していたが、もう1人は「死者の墓を掘り起こすのは簡単ではないから移転できなかったのでは」と話していた。(ソチ時事)