英国の黒人選手の壁画、「反差別」の象徴に


欧州選手権PK失敗で落書き、応援メッセージが集まる

英国の黒人選手の壁画、「反差別」の象徴に

 
 サッカー欧州選手権の決勝でPKを外したイングランド代表の黒人選手3人が人種差別的な中傷を受けている問題で、うち1人の似顔絵を描いた壁画も標的となり、落書きで汚された。これに対し地元住民らは、壁に応援メッセージを貼り付けて反差別を表明。壁画は差別に立ち向かう「連帯」の象徴となっている。

 壁画の選手は名門マンチェスター・ユナイテッド所属のラッシュフォード選手。新型コロナウイルス感染対策で学校閉鎖が続いた昨年、貧困家庭の児童救済で夏休み中の無料給食継続を呼び掛け、実現させたことをたたえ、地元マンチェスター郊外に壁画が制作された。

 ところが、11日の決勝で同選手ら3人がPKを外し、イングランドがイタリアに負けると、壁画に差別用語が落書きされているのが見つかった。警察は捜査に乗り出し、落書きは黒いシートで覆われた。インターネット上でも3人への差別投稿が相次いでいる。

 12日にこの事件が報じられて以降、反差別の意志を示そうと壁画を訪れる人が続出。壁は「あなたは英雄」「ありがとう」などと書かれたカードで次々に埋め尽くされた。修復のためのクラウドファンディングにも13日までに3万ポンド(約460万円)以上が集まり、落書きされた部分は画家によって描き直された。13日夜には壁画前で反人種差別のデモが行われ、約700人が参加した。

 BBC放送によると、息子2人と壁画を訪れた男性は「ラッシュフォードは子供たちのロールモデル。差別はひどいことで、(メッセージを貼る)小さな行動が変化を生み出すと示したかった」と語った。ラッシュフォード選手はツイッターで「(住民の支援に)涙がこぼれそうになった」と謝意を表した。(ロンドン時事)