物流・医療分野など、裾野が広がるロボット市場
コロナで非対面のニーズが高まる、メーカーは投資を活発化
新型コロナウイルス禍で非対面のニーズが高まる中、ロボット関連市場が伸びている。これまで主流だった製造現場から、物流や医療などサービス分野へ裾野が拡大。画像処理や人工知能(AI)といった最新技術による遠隔操作の実現など、メーカー各社は投資を活発化させている。
経済産業省の予測によると、2010年に1兆円強だったロボット産業市場は、35年に10兆円規模に拡大する見込み。特にサービス分野の市場は13倍以上に伸び、ファクトリーオートメーション(FA)と呼ばれる製造業向けを逆転する見通しだ。
川崎重工業とソニーグループは5月、遠隔ロボット操作システムを開発する新会社の設立を発表した。川重が強みを持つ産業用ロボットと、ソニーのセンサーや画像処理技術を融合させる。両社はテレワークの浸透で無人化・省人化ニーズは今後も強まると見ており、来年から製造業向けにサービスを開始し、物流や医療分野に広げる。
画像処理技術の活用では、東京エレクトロンデバイスが不定形物のピッキングや仕分けなど複雑な作業をこなす「ビジョンロボットシステム」を開発。このほど横浜市内の事業所に開発・実演スペースを設置した。同社は「導入実績を5~6倍に増やしたい」と意気込む。
日立製作所は4月、知能ロボットを手掛ける新興企業キョウトロボティクス(滋賀県草津市)を子会社化した。同社のAIや3次元認識といった技術を取り込み、あらゆる倉庫内作業の自動化を目指す。日立は「物流分野は大きな成長が見込まれる」と期待、物流センターの無人化を促進したい考えだ。