観光・運輸業界、キャンセルや減便を警戒へ
東京に4回目の宣言発令へ、「書き入れ時」の夏休みを直撃
政府が8日、新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて東京都に4回目となる緊急事態宣言の発令を決め、観光・運輸業界に衝撃が広がった。宣言期間は12日から8月22日までと「書き入れ時」である夏休みを直撃。これに合わせ東京五輪も原則、無観客で開催される方向となった。各社は旅行のキャンセル、航空減便といった動きがどこまで広がるか警戒を強めている。
「旅行の申し込みは徐々に回復していたが、緊急事態宣言で間違いなく大きな影響を受ける」。日本旅行業協会で国内旅行を担当する高橋広行副会長(JTB会長)は8日の記者会見でこう話し、必要があればキャンセル発生時の補償などの支援策を政府に求めていく考えを明らかにした。
旅行大手の幹部は「宣言期間中は東京を発着するツアーは中止になるのではないか。予約が減った分は政府の雇用調整助成金などを活用して乗り切るしかない」と対応に苦慮。別の同業大手関係者は、沖縄での宣言延長について「沖縄は夏の国内旅行の定番中の定番だ。非常に手痛い」と肩を落とした。都内の大手ホテルの社員は「五輪を見る予定だったお客さまが予約をキャンセルするのではないか」と心配げに話す。
日本航空は8日、国内線の運航について事業計画比で7月後半に約700便、8月前半には3300便を減らすと発表したが、東京や沖縄の緊急事態の影響は反映していない。さらなる減便を迫られる公算が大きく、関係者は「苦しいところだ」と打ち明ける。全日本空輸は近く、宣言の影響を踏まえた運航計画を発表する予定だ。
JR東日本は今月後半に新幹線と在来線特急で臨時列車の運行を決めている。4連休や五輪期間の移動が減ることで、関係者は「少なからず(利用や収入への)影響は出てくるだろう」と話した。JR東海も21~31日に東海道新幹線の臨時列車を運転する予定だが、状況次第で計画の見直しを迫られそうだ。