土地の路線価、コロナの影響で6年ぶりに下落


国税庁が公表、39都府県でマイナス、商業地で顕著

土地の路線価、コロナの影響で6年ぶりに下落

都道府県庁所在地の最高路線価で下落率が最も高かった近鉄奈良駅前の大宮通り=6月29日、奈良市(時事)

 国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる2021年分の土地の路線価(1月1日時点)を公表した。標準宅地の評価基準額は全国平均で前年を0・5%下回り、6年ぶりに下落。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、商業地を中心に多くの地域で弱含みとなった。

 都道府県別では、7年連続で上昇していた東京や大阪、愛知など39都府県で下落。北海道と宮城、福岡など6県は上昇したが、上昇幅は最大1・8%にとどまった。

 都道府県庁所在地の最高路線価も、22都市でマイナスに。最も大きく下がったのは奈良市の12・5%で、神戸市9・7%、大阪市8・5%、盛岡市8・0%と続いた。上昇率が最も高かった仙台市でも3・8%で、昨年の那覇市(40・8%)、大阪市(35・0%)と比べ小幅だった。

 全国の評価対象地点のうち、最も下落率が高かったのは大阪・心斎橋筋の26・4%。同じくインバウンド(訪日外国人旅行者)需要などで地価の上昇が続いていた東京・浅草でも11・9%、岐阜・高山でも12・7%下落した。

 路線価の最高額は、東京・銀座の鳩居堂前で、1平方メートル当たり4272万円。36年連続で全国最高だが、前年比7・0%減で、9年ぶりにマイナスに転じた。

 路線価は通常、1月1日時点の評価額が年間を通じて適用されるが、国税庁は昨年7~12月分について、コロナの影響で20%を超える大幅な地価下落が確認されたとして、大阪市の繁華街計13地域で減額修正した。21年分も、地価変動に柔軟に対応できるよう、動向調査を実施するとしている。