りゅうぐうの砂、JAXAが本格分析を開始
大学や研究機関に分配、太陽系や地球生命の起源の解明へ
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は17日、探査機「はやぶさ2」が地球に持ち帰った小惑星「りゅうぐう」の砂の本格的な科学分析を始めたと発表した。試料の一部がプロジェクトに参加する国内外の大学や研究機関に分配された。
これまでの観察で、りゅうぐうの砂には有機物や水の存在が示唆されており、本格的な分析により太陽系の成り立ちや地球生命の起源解明につながる成果が期待される。
JAXAは昨年12月、帰還したカプセルからりゅうぐうの砂計約5・4グラムを回収。真空環境や窒素で満たして地球大気に触れないようにした装置内で、砂粒一つ一つの測定や顕微鏡観察、保管容器への取り分けなど本格分析に向けた準備を進めてきた。
今回大学などに分配されたのは約0・3グラム。化学組成や有機物、揮発性物質など対象ごとに6チームに分かれて分析を行う。来年6月には、国際公募で選ばれた世界中の研究者への試料提供も始まるため、各チームは1年以内をめどに論文などの形で成果を取りまとめる方針。
このほか、約0・2グラムは岡山大と海洋研究開発機構に分配。大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県)なども用いた詳細な観測も行われる。