富山県立大、医薬品原料作る新たな酵素を開発


酵素はブタ由来で環境に優しい、認知症治療に道

富山県立大、医薬品原料作る新たな酵素を開発

医薬品の原料に必要な物質を効率的に作り出す新たな酵素を開発した富山県立大の浅野泰久教授(左)と安川和志研究員=7日午後、富山市

 富山県立大は7日、医薬品の原料に必要な物質を作り出せる新たな酵素を開発したと発表した。酵素はブタ由来で、自然界に存在せず、従来の手法に比べて効率的で環境に優しいという。研究を進めた同大の浅野泰久教授(61)は「アルツハイマー型認知症の治療薬などの生産に役立つと期待している」と話している。

 自然界には、同じ分子の組み合わせであるのに、左右対称の「R型」と「S型」で構成される「鏡像異性体」と呼ばれる有機化合物が存在する。この二つの型は働きが全く違うこともあり、混ざったものを医薬品に使った場合、サリドマイドのような薬害を引き起こす可能性がある。

 同大の安川和志研究員(32)によると、今回の研究では、「アルファメチルベンジルアミン」と呼ばれるアミン化合物に着目。R型をS型に変化させる新しいアミン酸化酵素を開発し、S型が100%の化合物を作り出せるようになった。ほかのアミン化合物にも応用できるという。

 研究成果は、ドイツの科学誌アンゲバンテ・ケミーの電子版に近く掲載される。