モンゴル大統領選、フレルスフ前首相が圧勝
与党・人民党党首、「国民の信頼に努力で応えていく」
モンゴルで9日に行われた大統領選挙で、与党・人民党のフレルスフ前首相(52)が7割近い得票率で圧勝し、第6代大統領への就任を確実にした。
現地メディアによると、得票数はフレルスフ氏82万票、少数政党による「正しい人間エレクトラト」連合のエンフバト氏が24万票、現職のバトトルガ大統領が所属する民主党から出馬したエルデネ氏は7万票にとどまった。一方、投票率は59・24%で、1992年の民主化を経た新憲法制定以後最低だった。
2019年11月の憲法改正により、今年から大統領の任期は従来の最大2期8年から再選禁止の6年に変更される。今年4月に行われた憲法審査会は、バトトルガ大統領に再選出馬の権利がないと結論付けていた。
人民党にとっては、今年4月に人民革命党と合併して以降、初の国政選挙となった。またフレルスフ氏の就任により、大統領の出身政党と与党が異なる「ねじれ」現象が解消される。民主党は内部分裂が指摘されており、求心力の更なる低下が懸念される。
エンフバト氏は、選挙運動期間終了直前の5日、夫人と共に新型コロナウイルスへの感染発覚で入院。ネット経由で選挙戦を戦い若者を中心に支持を集めていたが、結果には届かなかった。国営モンツァメ通信社は、「在外有権者のほとんどがエンフバト氏に投票した」とも報じている。
フレルスフ氏は行政監察相、非常事態相、副首相を務め、17年に首相に就任。今年1月に新型コロナウイルス患者の搬送に関わる対応をめぐって引責辞任した。当確を受け9日夜、「政治の安定、国策の実現、始めた仕事は終わらせてほしいという大きな信頼を込めて票を投じられたと理解している。国民の信頼に努力で応えていく」と述べた。就任式は14日に行われると報じられている。
(辻本奈緒子)