保守派のケイコ・フジモリ氏、リードも大接戦
ペルー大統領選決選投票、社会混乱につながる恐れも
南米ペルーで6日、大統領選挙の決選投票が行われた。即日開票が進む中、フジモリ元大統領(82)の長女ケイコ・フジモリ氏(46)と教員組合出身の急進左派ペドロ・カスティジョ氏(51)による接戦となっている。ペルー中央選管(ONPE)の発表によると、開票率90・04%の時点で、ケイコ氏の得票率50・35%、カスティジョ氏の得票率は49・64%だ。
開票当初は、ペルー初の女性大統領を目指すケイコ氏が4ポイント近くリードしていたが、地方票の開票が進む中でカスティジョ氏の票が伸びている。
今回の大統領選挙は、ペルーが新型コロナウイルスの感染拡大「第2波」に苦しむ中で行われている。政府発表の新型コロナ感染による死者は18万人を超えており、人口比では世界最多だ。昨年の経済成長率はマイナス11%。経済・社会の復興、医療・コロナ対策は大統領選挙の争点にもなった。
選挙戦は当初、カスティジョ氏が、資源の国有化や憲法改正など急進左派的な政策を訴え、地方・貧困層の支持を拡大してリードした。銅などの資源輸出に多額の税金をかけ、その資金で貧困・医療支援を行おうというものだ。同氏が所属する「ペルー自由党」は社会主義の実現を目指している。
ケイコ氏は、カスティジョ氏の当選によるペルーの「共産化」「ベネズエラ化」を恐れる保守派や企業家の支持を集めて対抗、首都リマなどの都市部で大きく支持を伸ばして巻き返しを図ってきた。
一方、選挙戦が進む中で、経済力のある都市部と貧困層が多く医療支援などが届きにくい地方との分断が明らかになった。得票差が小差となった場合、破れた候補の支持者らが再集計を求めるなど、社会混乱につながる恐れもある。
サガスティ大統領は4日、「すべての国民が投票に行き、その結果を平和的に受け入れてほしい」と要請している。OAS(米州機構)をはじめとした国際選挙監視団もペルー入りしており、OAS関係者は6日「公平制のある選挙が行われた」と評価した。
2011年と16年の大統領選決選投票で惜しくも落選したケイコ氏は、今回勝利すれば「三度目の正直」となる。(サンパウロ綾村悟)