男子ゴルフの木下稜介、悲願のツアー初Vに涙
松山・石川と同学年の29歳、地道に小技を鍛え直す
短いウイニングパットを沈めた木下稜は、天を仰いで両手を突き上げた。ギャラリーの温かい拍手に包まれ、優勝者インタビューが始まっても涙が止まらない。万感の思いがこもったツアー初優勝。「本当に長くて苦しかった。いろんなことが込み上げてきた」
緊張で1番のティーショットを右の林に入れたが、見事なアプローチでパーセーブ。パー5の2番でバーディーを奪い、4番では6メートルを沈めてガッツポーズ。6番でも伸ばして独走態勢に入り、日本タイトルをつかんだ。
松山英樹、石川遼と同学年の29歳は「常に比較されながら育ってきた」。一気にスターダムを駆け上がった2人の存在を刺激に、こつこつ努力を重ねてきた。
頭角を現した2020~21年シーズンは2試合で最終日最終組を回りながら、優勝には手が届かず。悲願をかなえるため、課題だった小技を鍛え直した。
「荷物をやっと下ろせた」と安堵(あんど)の表情を浮かべ、賞金王を次なる目標に定めた。出場が決まっている7月の全英オープンの期間中には、30歳の誕生日を迎える。5年の複数年シードも獲得し、「10勝、20勝を目指して頑張りたい」。希望に胸を膨らませた。