カツオの水揚げが好調、今年はお手頃な価格に


脂乗った上質魚が豊漁、漁場の近さから鮮度も抜群に良好

カツオの水揚げが好調、今年はお手頃な価格に

身に脂が乗った千葉県産の初ガツオ=5月20日、東京都江東区の豊洲市場(時事)

 初夏の旬を迎え、カツオの水揚げが好調だ。東京・豊洲市場(江東区)のほか全国の魚市場にも豊富に入荷して卸値が下がり、量販店などが特売する機会が増えている。今年のカツオは「この時期にしては珍しく、脂乗りが良い」と豊洲市場の卸会社。ここ数年、不漁で食卓から遠ざかりつつあった旬の味が、今年はぐっと身近になっている。

 春から初夏に漁獲される「初ガツオ」は今年、5月中旬以降に千葉県などで水揚げが急増。勝浦港と銚子港を主体とする同県の5月水揚げ量は、28日現在で約3700トンと前年の4倍以上に拡大している。漁業情報サービスセンターによると、カツオが集まる暖流の黒潮が「例年より沿岸寄りを流れて漁場が近い」(水産情報部)ことから、頻繁な水揚げが可能になったという。

 漁獲量の増加を受け、豊洲市場では卸値が下落。主力の千葉県産は、1匹3キロ型の5月下旬の卸値が、1キロ当たり300~500円と前年の半値ほど。卸会社によると「新型コロナウイルスの影響で外食向け販売は減ったが、量販店などの扱いは大幅に増えている」(販売担当者)という。首都圏のスーパーでは刺し身用の1さくを昨年より3割以上安い500円前後で特売する店も現れた。

 安い上に、漁場の近さから「鮮度が抜群に良い」(豊洲市場の卸会社)のが今年の特徴。さらに「餌となる小イワシなども近海で豊漁」(同)なため「脂を蓄えた秋の戻りガツオのような魚も多い」と、豊島区の鮮魚専門店は太鼓判を押す。

 カツオの群れは今後、日本近海をさらに北上し、宮城県沖などでも操業が本格化する見通し。あっさりした例年の初ガツオとは一味違う、上質な初夏の味が手軽に楽しめそうだ。