仏大統領がルワンダを訪問、大虐殺に「責任」
当時の仏政府は「目をつぶっていた」、関係改善へ前進
アフリカ中部ルワンダを訪問したフランスのマクロン大統領が27日、1994年に起きたルワンダ大虐殺をめぐるフランスの責任を認めた。ルワンダのカガメ大統領は「謝罪よりも価値があった」と歓迎した。マクロン氏は、2015年から空席となっていた駐ルワンダ仏大使を近く任命すると発表。一時は国交断絶にまで悪化した両国の関係は、改善に向け大きく前進した。
ルワンダ大虐殺をめぐっては、軍を駐留させていたフランスが当時の体制派を支援し虐殺に関与したと主張するルワンダ政府と、これを否定する仏政府との間で対立が続いている。
マクロン氏はルワンダの首都キガリで27日に行った演説で、「フランスは虐殺を行った体制の側にいた。謙虚さと敬意を持って責任を認める」と表明。「歴史を正面から見据え、ルワンダの人々に与えた苦しみを認識する義務がある」と強調した。
マクロン氏が設置した歴史委員会は今年3月、ルワンダ大虐殺に関する報告書を公表し、当時の仏政府は虐殺の準備が進んでいることを知りながら「目をつぶっていた」と指摘。殺害への加担は否定しつつも「非常に大きな責任」があると結論付けた。
仏紙ルモンドは、これまで仏側に厳しい姿勢で臨んでいたカガメ氏が軟化姿勢に転じた理由について、マクロン氏が6月に行われる主要7カ国首脳会議(G7)など国際的な場において「アフリカの窓口」になることを期待していると分析した。
マクロン氏は17年の就任以来、安全保障や地政学的観点からアフリカを戦略的地域と位置付け、関係改善を模索している。19年12月には訪問先のコートジボワールで、「植民地主義は重大な過ちだった」と発言。保守系右派から批判を浴びた。
20年に米国で起きた白人警官による黒人暴行死事件以降、世界的に人種差別主義と植民地主義に対する反省が広まっている。ルワンダとの関係改善は、来年に迫る大統領選での再選を狙うマクロン氏にとって大きな外交成果のアピールにもなりそうだ。(パリ時事)