台湾政府「即断即決」の対応、封じ込めに全力
コロナ拡大で協力呼び掛け、ITで感染者の行動を追跡へ
新型コロナウイルスの感染拡大に直面する台湾政府が、「即断即決」の対応で抑え込みに躍起になっている。21日に発表された新規感染者は前日比26人増の312人で、過去1週間で累計1800人を超えた。政府は緊急事態に危機感を強めており、得意のITも駆使して最大の難局を乗り越えたい考えだ。
「最も大事なのは感染防止対策を徹底し、外出を減らすことだ」。蔡英文総統はインターネット交流サイト(SNS)で繰り返し市民に協力を呼び掛けている。
政府対策本部は15日、状況が特に深刻な台北と新北の感染症警戒レベルを上から2番目の「3」に引き上げ、5人以上の室内の集まりを禁止するとともに、外出自粛を要請。19日からは小中高、大学の授業をオンラインに切り替え、レベル3の対象を全土に一気に広げるなど、矢継ぎ早に対策を繰り出した。
20日からは、対策本部と計22の自治体担当者による対策会議を毎朝8時にオンラインで開催。中央と地方が情報を共有し、対策で足並みをそろえるのが目的だ。
得意のITの活用も始まった。対策本部は感染者の行動追跡を目的に、コンビニやスーパー、レストランに来店者の氏名や連絡先の保存を求めているが、スマートフォンで数秒で登録が完了する新システムを官民で開発。「IT担当大臣」とも呼ばれる唐鳳(オードリー・タン)行政院政務委員(閣僚)が取りまとめ役を務め、わずか3日間で完成させた。
レベル3の期限は今月28日。拡大基調がこのまま続けば、外出が大幅に制限されるレベル4への引き上げも視野に入るだけに、対策本部トップの陳時中・衛生福利部長(厚生労働相に相当)は21日、「この週末はどうか外出を控えて」と市民に強く訴えた。(台北時事)