正代、タイミングよく攻めようやく本来の相撲
「諦めずにまた集中できた」、苦しんでかど番を脱出
かど番脱出を決めた正代は何度もうなずき、安堵(あんど)の表情を浮かべた。「ずっと息苦しかったのがなくなった感じ。場所前から重圧があったので、勝った後にそういうしぐさが出たと思う」。大関の地位を守り、本音が漏れた。
相撲ぶりも正代らしかった。胸から思い切って当たると、宝富士の左差しを警戒しながらも圧力をかけて前へ、前へ。最後は体を預けるように寄り切り「攻めるタイミングがとても良かった」と振り返った。
今場所は序盤から波に乗れなかった。土俵際での逆転を気にするあまりいつものように寄れず、白星を欲しがりタイミングの悪い引きも出た。8日目からは3連敗。大関陥落の危機もあったが、「諦めずにまた集中できたのがよかった」と乗り切った。
だが、勝ち越しだけでは大関の責任は果たせない。単独トップの照ノ富士、追う貴景勝と比べれば物足りなさはある。白星を2桁には乗せたいところ。「取れる相撲を取り切って、今場所を締めくくれれば」と残り2番に全力を注ぐ。