広島の中村奨成が躍動、重い空気を振り払う若さ


2安打2打点、プロ初マスクで2失点、攻守で力いっぱい

広島の中村奨成が躍動、重い空気を振り払う若さ

6回、勝ち越しの2点適時打を放つ広島の中村奨=19日、東京ドーム(時事)

 若さあふれるプレーが、コロナ禍の重い空気を振り払った。広島の高卒4年目、中村奨が躍動した。打撃で2安打2打点。守備ではプロ初マスクで、完投した九里に導かれて2失点にまとめた。「緊張したけど、九里さんらが声を掛けてくれて思い切ってできた」と声が弾んだ。

 試合前に坂倉がベンチを外れ、急きょ捕手で先発出場した。見せ場は六回無死満塁。甘い直球を思い切り振り抜くと、打球は高く弾んで三塁手の頭上を越えた。「抜けろと思いながら走っていた」。プロ初打点の2点勝ち越し打に、両手でガッツポーズ。この回計9得点の呼び水となった。

 チームは苦境にある。17日に主力の菊池涼ら3人が新型コロナウイルス陽性と判明。万一に備え、複数の選手が戦列を離れた。大きなチャンスを生かした21歳は「この1回だけで満足せず、いい形を続けていきたい」と胸を張る。

 「清宮世代」の一人として、広島・広陵高時代に甲子園を沸かせた。将来性のある若手に、九里は「首を多く振ったが、いろいろ考えてくれた」とうなずく。中村奨本人は「何とかチームの勝ちに貢献していきたい」。経験を糧に、新芽がたくましく伸びている。