中国無人探査機「天問1号」、火星に初着陸


3カ国目、軍と国有企業が一体となり「宇宙強国」へ前進

中国無人探査機「天問1号」、火星に初着陸

中国の火星探査車の模型=3月4日、北京(AFP時事)

 中国の無人火星探査機「天問1号」が15日午前7時18分(日本時間同8時18分)ごろ、火星への着陸に成功した。国営中央テレビが伝えた。中国にとって初の火星着陸で、旧ソ連、米国に続き3カ国目。今後、搭載している探査車「祝融号」を地表に降ろして走行させる予定で、表面探査にも成功すれば米国に次いで2カ国目となる。

 中国は、米国の独壇場だった火星探査にも割って入り、「宇宙強国」の目標にまた一歩近づいた形だ。火星では、今年2月に着陸した米国の探査車「パーシビアランス」が活動しており、米中両国の探査車がそろい踏みする見通しだ。

 習近平国家主席は15日の祝電で「惑星探査分野で世界の先進グループに入った」との認識を示した上で、「宇宙強国」建設の加速を指示した。

 天問1号は昨年7月に打ち上げられ、今年2月に火星周回軌道に到着。着陸のタイミングを探っていた。この日、周回機から切り離された着陸機が火星の北半球の平原に軟着陸した。

 火星への着陸は難度が高く、旧ソ連は1971年に「マルス3号」を初着陸させたものの、直後に通信が途絶。一方、米国は76年に「バイキング1号」の着陸を成功させ、その後も探査車を送り込んでいる。

 中国はこれまでの宇宙探査で、2019年1月、無人探査機「嫦娥(じょうが)4号」を世界で初めて月の裏側に着陸させたほか、20年12月には「嫦娥5号」で、米国、旧ソ連に続き44年ぶりに月のサンプル回収に成功。先月には、22年の完成を目指して独自の有人宇宙ステーション建設に着手するなど、軍と国有企業が一体となった開発体制で米国を猛追している。(北京時事)