映画「はじまりは5つ星ホテルから」
華やかな仕事と私生活を対比
世界各国の五つ星ホテルが舞台となっているイタリア映画だ。パリのコンコルド広場にある宮殿ホテル、オテル・ドゥ・クリヨンはじめイタリア、ドイツ、スイス、モロッコ、中国と七つのホテルが登場する。
主人公イレーヌはホテルの覆面調査員で、部屋の清潔度、スタッフの応対、サービスの迅速さなど細かく厳しくチェックし、採点をつけてホテルの支配人に提出する。ホテルからホテルへと旅する華やかな仕事だ。
旅先のホテルでは素敵な男性と出会ったり、人類学者の女性とも親しくなり考えもしなかった“自由”について教わる。またあるホテルでは、裕福な人と貧しいカップルをスタッフが差別している場面にも出くわす。
その一方、イレーヌの私生活も対比的に描かれていく。40歳の独身で、自宅に帰れば冷凍食品で食事を済ませ、元婚約者で友人のアンドレアがやって来ては相談を持ちかける。別の日には二人の娘を持つ妹一家と過ごし、ささいなことで意見を対立させる。
映画の原題は「一人旅」で、まわりの人々は結婚相手を見つけるよう意見するが、主人公は自分の選択に満足し、失敗したとは思っていない。仕事と家族をテーマに自由と幸福について考えさせる。(岳)