紙の書籍と電子書籍 歯止めかからぬ紙媒体の低落
かつて、文芸評論家の中村光夫が、「年は取りたくないものです」という言葉を述べている。
これは、1951年のフランスの作家、アルベール・カミュの小説『異邦人』が翻訳されたとき、その主人公の冷酷さ(不条理さ)を批判した作家の広津和郎に対して、小説の可能性と実験的な人間観に対して、その新しさを理解できないことを揶揄(やゆ)した言葉だ。
もちろん、この「異邦人論争」は、文学論争というよりも、倫理道徳と芸術主義の対立といったものだが、世代間における感性や考え方を浮き彫りにしている論争と言ってもいいだろう。
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