政治利用される機密取扱許可
高官のホワイトハウス入りを阻止
米ホワイトハウス内での職務に不可欠な国家機密情報へのセキュリティークリアランス(機密情報取扱許可、TS/SCI)が、トランプ大統領の上級顧問らのホワイトハウス入りを阻むための情報機関による権力闘争に利用されている。
2月、アフリカ問題の専門家で、当時のフリン大統領補佐官(国家安全保障担当)の側近だったロビン・タウンリー氏のセキュリティークリアランスが情報機関によって拒否された。
タウンリー氏は、現在の情報機関の在り方に批判的で、古い体制の改革を求めていたことから、背景には政治的動機があるとみられている。タウンリー氏はその後、国家安全保障会議(NSC)のスタッフを外された。
タウンリー氏はTS/SCIを得て、長年、国防情報局(DIA)に勤務しており、機密情報を取り扱う要件は備えている。それにもかかわらず、拒否されたことについて情報専門家のアンジェロ・コードビラ氏は「中央情報局(CIA)はタウンリー氏を相手にしたくなかったのだろう」と指摘、タウンリー氏へのTS/SCI不許可はCIAによるものと見方を明らかにした。
一方、オバマ前政権で、身辺調査で問題があったリベラル派の顧問ベン・ローズ氏にTS/SCIが認められていたことが問題視されている。
ローズ氏は2008年に連邦捜査局(FBI)によって暫定TS/SCIを拒否されたにもかかわらず、その後、承認され、外交、安全保障をめぐりオバマ前大統領の側近として活躍した。
同氏は、メディアやシンクタンクに政府の偽情報やプロパガンダを拡散させる「反響室」と呼ばれる手法を考え出し、イラン核合意への世論の支持獲得を図ったことで知られている。
2人の共和党下院議員が1月、ローズ氏にTS/SCIが認められた経緯を調査するようFBIに求めた。