辺野古移設に沖縄県民7万3000人が署名
報道と民意は乖離
基地統合縮小実現県民の会が報告会
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設を推進する「基地統合縮小実現県民の会」が24日、那覇市で集会を開き、これまでに約7万3000人の県民の署名が集まったことを報告した。普天間の危険性を除去するには辺野古移設が唯一の現実的な解決策として、県民の会は8月から署名活動を推進している。近いうちに仲井真弘多(ひろかず)知事に署名を手渡し、辺野古の公有水面埋め立て申請の承認を促す。(那覇支局・豊田 剛)
近く知事に手渡し、埋立申請承認促す
県民の会は県選出国会議員の西銘恒三郎氏と島尻安伊子氏、地方議員や経済界関係者らが呼び掛け人となり、8月に発足。5万人署名を目標に活動したところ、11月22日までに7万3491人分の署名が集まった。中でも、宜野湾市や名護市ではそれぞれ1万人を超える署名が集まった。署名活動は県内12万世帯への投函のほか、街頭での呼び掛けや企業あいさつの形で行われた。
名護市で先頭に立って署名活動を行った島袋吉和前市長は、「米軍再編交付金の停止により名護の多くの企業が不況を感じている」と述べた。その上で、「『普天間の危険性を除去しよう』と言うと、ほとんどの人が賛成してくれる。いくら反対しても結局は辺野古に移ると思っている人がほとんど」という実情を説明した。
署名活動に参加した人々は、県内移設反対は「県民の総意」「オール沖縄」という地元メディアの報道と違い、容認派が県民の圧倒的多数であることを実感したという。
県民の会賛同人の牛尾弘行氏(会社経営者)は、「多くの知人友人に署名を求めたが、誰一人として反対する人はいなかった。地元の報道と全然違うというのが正直な印象」だと述べた。
街頭署名活動に参加した40代の女性は、「8割ぐらいが賛成して快く署名してくれた。苦情や嫌がらせはほとんどなかった」とコメント。琉球大学の学生は、「学内で調査したところ反対派は少数派で、大学生はまともな感覚を持っている」と語った。
24日に行われた集会には約400人が参加。壇上には7万人超分の署名が山積みされた。それに加え、全国の1742人の地方議員の署名も積み上げられた。
集会では、中山恭子参院議員、嶺井政治元副知事、島袋吉和前名護市長、平安座唯雄元宜野湾市議、砥板芳行石垣市議、松田良昭神奈川県議、西田健次郎・県民の会副会長が登壇。「辺野古移設反対は県民の総意、というのは幻想にすぎない」「本当の民意は辺野古移設だ」という意見が相次いだ。
このほか、衛藤晟一首相補佐官の「埋め立て申請が認められなければ、日米関係に重大な亀裂が生じる」とのメッセージも読み上げられた。また、西銘、島尻両議員は祝電を送った。
集会のハイライトは署名を県知事に手渡す場面だったが、知事は欠席した。県民の会事務局によると、近日中にも県庁を訪れ、仲井真知事に署名を手渡すという。
県民自らの手で解決を
中地昌平会長のメッセージ
5万人という目標をはるかに上回る7万人超の署名が集まった。県民が単純に反基地であるかのような地元メディアの報道には迷惑している。沖縄戦による土地強制収用で基地に対する複雑な感情があるが、現在の隣国の状況を見れば一定の基地、抑止力が必要だということは分かっている。
「(普天間飛行場は)最低でも県外」という4年前の鳩山由紀夫氏の発言に翻弄(ほんろう)されてきたが、県外・国外の移設先を具体的に交渉した政治家はいない。しかも、受け入れを容認しているのは辺野古以外にないのが現実だ。日米両政府の合意からすでに17年がたち、もはや政府や鳩山氏に責任をなすり付けず、県民自ら解決に向かおう。そして、「世界一危険」という言葉を終わらせようではないか。
基地問題でベストな選択肢はない。ベターであっても解決に向かうことが必要。
知事が埋め立て申請を承認するまで我々は活動を続ける。県民の思いを真摯(しんし)に受け止め、勇気ある決断をしてほしい。