辺野古沖への移設作業再開で焦りか、相次ぐ反基地活動家の暴力
沖縄防衛局は15日午前、米軍普天間飛行場の移設計画に基づいて名護市辺野古のキャンプ・シュワブ内移設に向けた海上作業を再開した。これに伴い、移設反対の活動家らは、24時間態勢でゲート前で座り込み活動を行い、資材の搬入の妨害を行ったほか、移設容認派県民に暴力を振るうなど過激な行動が相次いでいる。一般市民を巻き込んだ過激な抗議行動について、県民の代表として翁長雄志(おながたけし)知事がどういう対応に出るか注目される。(那覇支局・豊田 剛)
フェンス清掃の日米友好団体のリーダーが被害
沖縄防衛局は昨年9月以降、11月の知事選やその直後の衆院選への影響を配慮してキャンプ・シュワブ沿岸部から浮桟橋やゴムボートを撤去し、本格的な海上作業を中断していたが、今年に入って、ボーリング調査などの移設作業再開の準備を進めてきた。
ところが、作業再開を前にした1月15日未明、キャンプ・シュワブのゲート前には、資材を積んだトレーラーの進入を24時間態勢で阻止しようとする活動家や抗議の一般市民約100人が集まった。活動家らの中には、ゲート前に泥落としのために敷かれている三角形の突起付きの鉄板(波型鉄板)の上に座り込んだり、寝そべるなどして車両の通行を防ぎ、違法な抗議行動をする者もいた。
このため、警察当局は、機動隊や県警約120人を動員、違法行為の活動家らを法に基づいて排除しようとして、活動家らと激しく衝突した。基地反対派は「同じウチナーンチュだろう」「島を売るのか」と罵声を浴びせ、大混乱となった。
ゲート前では11日深夜にも、ゲート前の警備に当たっていた民間警備員をコーヒー缶で殴った暴行容疑で住所不詳の僧侶、佐々木弘文容疑者が現行犯逮捕された。昨年夏からゲート前で抗議活動が続いていたが、逮捕者が出たのは初めて。同容疑者はシュワブ沿岸で抗議するカヌー隊を取りまとめる人物で、当時、酒に酔っていたという。
また、防衛局が作業を再開した15日の未明には、ある中年の活動家が故意に転倒し、仲間が救急車を呼ぶ場面が目撃された。救急車が到着すると、活動家らは拍手喝采を送るという異様な光景が見られたという。
一方、辺野古沖では15日午前、浮桟橋などの再設作業が始まったのに伴い、カヌーに乗り違法な抗議活動をしていた市民18人が海上保安庁に拘束された。
こうした活動家の過激な活動は普天間飛行場のゲート前でも連日繰り返されている。メーンゲートの近くでは毎朝、「さらばんじ(「真っ盛り」の意味)の会」の十数人が海兵隊員の出勤に合わせて「ゴーホーム(家に帰れ)」「ゲットアウト(出て行け)」などと罵声を浴びせている。
これを見かねた地元の有志らが米兵に対して笑顔で手を振る「ハートクリーンプロジェクト」を始めた。この代表を務める手登根(てどこん)安則氏は11日早朝、活動中に活動家6人に取り囲まれた。彼らはメガホンを突きつけながら「これが暴力集団オスプレイファンクラブのリーダーです」と事実無根の中傷を加えた後、突き飛ばした。
それだけでは終わらない。彼らが旗台とコンクリート片を同氏の右足に振り下ろしたため、同氏は全治2週間の負傷を負った。6人のうち、3人はビデオカメラを回していた。同氏は一切反撃することなく、警察の現認を待った。代表格の男性は「この人は自分で足を入れた。平和運動の邪魔をしている」と警察に話したという。
活動家らの過激な行為について手登根氏は「反撃するのを撮影し、心身ともに苦痛を与えるのが目的だったのではないか」と分析する。
手登根氏が代表を務める「ハートクリーンプロジェクト」および普天間飛行場の野嵩(のだけ)ゲートのフェンス清掃活動を行う「フェンスクリーンプロジェクト」のメンバーはたびたび、取り囲まれたり、プラカードで叩かれるなどの被害を受けている。
昨年12月、仲井真弘多(なかいまひろかず)前知事に抗議する県庁包囲デモでは辺野古移設容認派の男性が襟首をつかまれた上で顔面を殴られるなどの暴行を受けた事件があった。
「反基地活動家らはだいたい顔を隠して活動している。自分たちの行動が正しいと思うのであれば顔を出すべきだ。また、『話し合いで解決すべきだ』と言っているが、一般市民とまともに話ができないのに平和が達成できるのだろうか」。手登根氏は、無節操な基地反対活動家の行動について無念そうに話した。
地元の軍事関係者によると、昨年の知事選で辺野古移設反対を公約に掲げた翁長雄志氏が当選したにもかかわらず、政府が移設に向けた作業を粛々と行っているため、反対活動家はその焦りから暴力的になっているのではないか。今後も抗議行動は活発化し、過激になる可能性が高い。このため、翁長知事としては、移設反対を主張するにしても、県民の代表として、一般市民を巻き込んだ抗議行動について人身事故、重大な事件が起きないように活動家らに対して警告する必要があるのではないか――と指摘する。
沖縄防衛局は今後、作業に伴う海水の汚れを防ぐためのオイルフェンスの設置や、立ち入り禁止区域を示すフロートの設置作業を経て、来月中旬にも本格的な海底ボーリング調査を始める方針だ。







