反基地行動に地元は大迷惑
辺野古沿岸で海底ボーリング調査掘削開始
米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設で、辺野古沿岸部の埋め立てに向けた海底ボーリング調査の掘削が18日に始まった。移設先の米軍キャンプ・シュワブのゲート前には7月下旬から連日、基地反対活動家らが詰め掛けている。活動家たちの行動に対し、地元住民から不満が上がっている。一方、10年前にできなかった移設工事が進んでいることに対し、政府の「本気さ」を評価する声も上がっている。(那覇支局・豊田 剛)
「不必要な闘争」終息望む
「官邸の本気さ」評価の声も
「新基地反対」「埋立反対」「ヤンキー・ゴーホーム(米軍帰れ)」「ボーリング調査すぐやめろ」――。報道ヘリが上空を飛び交う中、キャンプ・シュワブのゲート前では連日、「警戒行動」と称する基地反対活動家によるデモが行われている。フェンスには「基地反対」、「埋立反対」の横断幕が多く貼られている。「共産党」、「沖教組」、「マスコミ労組」、「琉大学生会」など革新系団体のノボリが目に付く。
工事車両がゲートに入ろうとすると、座り込みをしている反対派らが「来た、来た」と言いながら、まるで獲物を捕まえるかのように活動家らは近寄って基地への進入を防ごうとする。
そのたびに、国道331号は上下車線ともふさがれる。「活動家が多い時は、ダンプカーやコンクリートミキサー車などの工事車両は進入を見送ることもある。被害は甚大」と関係者は話す。
活動家による妨害を防ぐため、沖縄防衛局はゲート前に工事用の柵を設置。ゲート周辺にも路上駐車を防ぐ目的で柵が置かれている。13日午前、わき見運転をしていたレンタカーがゲート付近で柵にぶつかる事故が起きた。警察が現場検証をしていると、活動家が集まってきて、「過剰な警備をするから事故が起こるんだ」と警官を怒り飛ばす始末。
ゲート前で抗議活動する人々のほとんどは、辺野古護岸に違法に建てられた抗議拠点(通称「テント村」)に立ち寄る。その際、多くの車両は漁港に無断で駐車している。夏休み中、子供が近くで遊んだり歩いたりしていることから、「危険で外で遊ばせられない」とある住民は話した。
漁港関係者は「人々は勝手に漁港内に車を止める。報道車両もわが物顔だ。用を足す人も後を絶たない」と呆れ顔で語った。
また、「米兵は警戒して夜の外出を控えるようになり、飲食関係者にとって厳しい状況だ。経済的にはマイナスでしかない」と辺野古出身の宮城安秀名護市議は話す。
宮城市議は、「普天間飛行場が固定化してしまうと、沖縄高専裏手のヘリパッド、久志区にある演習場が返還されない」と辺野古区民の苦悩を代弁。「10年前に沖合埋め立てができなかったために、不必要な闘争をこれまで引き延ばしてしまった」と感じている。
地元マスコミは、基地反対派の活動を大々的に報じるが、地元の不満の声「不必要な闘争」の主張をほとんど報じない。
10年前、掘削を前にして工事が中止に追い込まれたのと比べ、今回は大きな前進が見られる。当時の小泉純一郎政権はブイ(浮標)やフロート(浮具)を置かず、反対派による海上からの妨害を簡単に許した。稲嶺恵一知事(当時)も移設には消極的で反対派対策に弱腰だったことで知られる。
ところが、今回は反対派がゴムボートでブイに近づいても海上保安庁が毅然(きぜん)とした態度で追い払っている。さらに、台船をシュワブ内で組み立ててクレーンと船を使って海上に運んだため、反対派の妨害に遭うこともなかった。
当時の状況をよく知る島袋吉和前名護市長は「当時は県警も防衛省も海上保安庁も対応がバラバラだった。小泉首相は移設問題にはあまり関心を示していなかった」と振り返る。「仲井真弘多(ひろかず)知事は常に『国の本気度を見たい』と言っているが、今回は官邸主導で本気さを感じる」と評価した。
地元のマスコミ報道からは、沖縄県民全体が辺野古移設に反対しているように受け止められるが、基地反対活動家は県民のごく一部で、地元住民からは「不必要な闘争」に一日でも早く終止符を打ちたいという本音が伝わってくる。







