子宮頸がんワクチン接種 国に中止求める意見書可決
全国初、埼玉県嵐山町議会
埼玉県嵐山町議会は11日、子宮頸がんワクチンが全国で重篤な副反応が出ている事態を重視し、「ワクチンの効果と危険性を精査し検証するまで、接種の一時見合わせ」を求める意見書を圧倒的大差で可決した。
国に接種の一時中止を求める意見書が本会議で採択されたのは全国で初めて。
議員が作成する同様の意見書は、現時点で神奈川県で大和市など4市、東京都の町田市、東大和市、埼玉県の八潮市で作成・提出される運びだ。地方議会の同ワクチン接種中止への動きは新たな段階となった。
嵐山町の意見書は、副反応報告が1968件にのぼり、「他のワクチンに比べ高率」で、副反応の内容には未回復の例があるうえ、ギランバレー症候群のような難病や、報告漏れの多い遅発性疾患も想定され「重篤な例はさらに増える」と指摘。
さらに、厚生労働省も、がんそのものを予防する効果は現段階で証明されていない、としており、罹患率が20~30代で増加しているが、若い世代では自然治癒率も高い、と述べている。
そのうえで、(1)ワクチンの効果と危険性を精査し検証するまで接種一時見合わせ(2)副反応被害者の立場での速やかな補償、相談事業の拡充(3)検診による早期発見・治療が可能で、若い世代が受診しやすいような検診体制の工夫、充実――を求めている。
無所属議員提出による意見書は、公明党など3人が反対しただけで、他会派からおおむね支持され、保守系の男性議員からも賛成討論が行われた。
一方、国に接種中止を求める意見書の作成を目指した陳情・請願は、東京・杉並、大田、世田谷など6区議会に出されている。
4月からの定期接種化で、厚労省が接種を勧奨し地方自治体は接種を中止できないとされる。
ただ80年代末、同様な状況で、新三種混合(MMR)ワクチンに深刻な副作用が判明したため、大阪府の通知を受け高槻市、豊中市が一時中止したが、後の同ワクチン訴訟判決で、両市の中止措置は「行政上の裁量の範囲」と見なされている。