子宮頸がんワクチン 積極的に勧めず-厚労省部会
重篤副反応相次ぎ
子宮頸(けい)がんワクチンの副反応について、専門家が議論する厚生労働省の副反応検討部会は14日、副反応の報告が相次いでいるとして「積極的勧奨を一時控える」と議決した。
子宮頸がんワクチンは4月から定期予防接種の対象となっていた。政府は、地方自治体を通してワクチン接種を積極的に勧奨し、副反応問題が表面化する前の文面で案内を対象年齢の児童生徒に個別に送ってきた。
今後、対象者の小学校6年から高校1年の女子には、予防接種があることは伝えられるが、医療機関で接種する際には積極的に勧めていないことが説明される。
専門家部会は、定期予防接種は中止しない方針で、ワクチンの信頼性を確保するため、情報を集めて医学的評価をしていく。
問題がなければ積極的勧奨に戻る方向だが、「世界保健機構(WHO)や厚労省がどう説明しようと、自分の娘に打たせたくないものを市で勧めるわけにはいかない」(神奈川県大和市議会議員)との受け止め方が広がっている。
厚労省の担当者は「接種の利益があり、完全にやめるわけではない。慢性的な痛みを訴えるケースが出ており、どの程度のリスクか情報開示できるレベルになるまでの間は、勧奨を控える」と説明。
会見した同部会座長の桃井真里子国際医療福祉大副学長は「より安心できる情報を出すためで、リスクを理解した上で、補助を受けて接種することはできる」と述べた。
厚労省の資料によると、同ワクチンは2009年の販売開始から今年3月までに328万人が接種し、副反応報告は計1968件と、同時期に定期接種化となった他ワクチンに比べて副反応出現率は高い。うち106件は運動障害が残るなど重篤なケースだ。
「全国子宮頸癌ワクチン被害者連絡会」の池田利恵事務局長は、「望ましい方向だ。自分たちのような苦しみにあわせたくないと思ってきた重篤な副反応の子供たちが一番喜ぶと思う」と語っている。