痛みの原因「心身の反応」 子宮頸がんワクチン接種で厚労省部会
「実態と違う」と疑問の声
接種後、体の痛みなど重篤な副反応を訴える人が相次ぎ、接種勧奨が一時中止されている子宮頸(けい)がんワクチンに関する厚生労働省の専門部会は20日、「接種時の痛みが心身の反応を引き起こした可能性が否定できない」との意見で一致した。勧奨再開についての結論は次回、報告書を作り安全性を検討した上で判断するとして見送った。
部会は、痛みの原因が接種によって起こる神経疾患や免疫反応と考えるには、症状が説明できないとして、可能性を否定した。だが、接種後に記憶・計算障害も生じるケースがあったが、これについては全く議論されず、痛みだけに限定しての調査を基にした部会の結論には疑問視する声が出ている。
同部会では、原因を神経学的疾患、自己免疫疾患などいくつかに論点整理し、部会委員に原因として何が適切かと諮る形ですすめられた。ワクチン検討部会の桃井眞里子座長は、部会後の記者会見で、「心身の反応によって惹起された症状が慢性化したものと考えられるのではないか、との論点に反論がなかった」と述べ、この結論になった経緯を説明した。
「全国子宮頸癌ワクチン被害者連絡会」の松藤美香代表は「自分の娘は1回目接種で何の痛みもなく、2回目で急に痛みが広がり記憶障害も出ており、部会の結論には違和感がある」と指摘。
そのうえで、「心身の反応によるとしても、これだけの頻度で痛みが出ていることに鑑み、接種の積極勧奨再開は慎重にすべきだ」と述べている。