フランス資産運用大手ナティクシス・イン…


 フランス資産運用大手ナティクシス・インベストメント・マネージャーズが公表した2019年版の「世界老後指数」ランキング(快適な老後番付)で、日本は23位にとどまった。アイスランドが1位、米国は18位、韓国は24位だった。

 日本は、平均寿命がトップで、医療・健康面では高い評価を得たが、高齢者人口の比率の高さや大きな政府債務がマイナスに影響し、幸福度も低調だった。

 外国企業の調査の結果ではあるが、気流子としては、日本が長寿社会を実現しているという事実に、もっとプラスポイントを与えてほしかった気がする。

 わが国は戦後、「老後の幸せは人生の幸せに通じる」という内容のことを社会的合意とし、国民皆保険・皆年金という社会保障制度を育ててきた。特に医療分野が一貫して寿命を延ばすことを目指した結果、高齢者には多くの給付がなされ、子供に対する支援は薄いということも国民に受け入れられた。

 将来、年老いる中間所得階層が安心できる社会保障システムであったという言い方もできる。長寿社会を目指したその方向性は、決して間違っていなかった。その上で今回、安倍晋三政権は「全世代型社会保障」を打ち出した。

 少子化対策に弾みを付ける手だてでもあり、戦後の社会保障制度は大きな成果を見た結果、今や方向転換だという決意が見られる。与野党は、世代間の公平、平等とは何かという問題を正面から議論すべきだ。