芸術の秋である。東京都内でも今月から始まる…
芸術の秋である。東京都内でも今月から始まる展覧会が目白押しだ。気流子が利用する地下鉄駅ホームには、ベラスケスの油彩「青いドレスの王女マルガリータ・テレサ」を用いた大きなポスターが張られている。
電車を待つ間、「画家の中の画家」と言われた巨匠の見事な筆さばきに感嘆している。愛らしい王女が19日から国立西洋美術館で始まる「ハプスブルク展」へ人々を誘っているようだ。
そういう中、国立新美術館の「カルティエ、時の結晶」に足を運んだ。フランスの時計・宝飾ブランドのカルティエが1970年代以降に制作した作品デザインに焦点を当て、1847年創業以来の「カルティエコレクション」とともに展示している。
宝石は地球内部で何百万年もの時間をかけてつくられる。まさに「時の結晶」である。その貴重な自然の贈り物を、デザイナーや工匠がさらに美しい作品へと仕上げたものだ。
豹(ヒョウ)やワニを象(かたど)った宝飾品、ルビー、エメラルドをふんだんに用いた豪華なネックレス。ダイヤモンドを惜しげもなくちりばめた華麗なティアラ。ティアラといえば日本では女性皇族くらいしか使用する例を知らないが、時価で幾らするのだろう……。
男性の気流子は、素晴らしい宝飾品を見ても夢のないことばかり連想してしまう。それに比べ、女性たちの眼(め)の輝いていたこと。この展覧会は妻や娘を連れて来るべきだったか。いやいや、それはよそう。リアクションが大変だ。