関脇が強い場所は面白い――と言われるが…
関脇が強い場所は面白い――と言われるが、大相撲秋場所(22日千秋楽、東京・両国国技館)は、まさにそんな場所であった。鶴竜、白鵬の両横綱は途中休場、大関高安が全休した場所を盛り上げたのは、大関復帰の懸かる貴景勝と御嶽海の両関脇であった。
賜杯争いは千秋楽に平幕隠岐の海との3敗対決を制した貴景勝と、小結遠藤を下し12勝3敗で並んだ御嶽海の優勝決定戦に。最も意識するライバル対決で、万雷の拍手を背にすくむ心を奮い立たせ2度目の賜杯を抱いたのは御嶽海だった。
本割は中日に押し出され完敗したが、貴景勝の突進を強烈な当たりで受け止め真っ向勝負を挑んだ。「絶対に逃げないで前に出ようと思った」。たまらず引いた相手に体を寄せ、そのまま双差しで押し切った取り口に力強さと巧さが光った。
大相撲はこのところ白鵬の力に陰りが見えるなど、横綱、大関陣に休場が相次ぎ、安定した成績を残していない。それでも秋場所は「満員札止め」(入場券完売)を15日間全てで記録するなど、人気に陰りは見えない。
「大入り」は2016年九州場所4日目から267日連続を記録。ひとつは上位陣が不振でも、今場所のように平幕も入り乱れての賜杯争いが土俵の充実につながっているから。また、幕内下位では明生、炎鵬ら異能力士が活躍して相撲を面白くした。
11月の九州場所は貴景勝が大関に復帰し、御嶽海の大関取りが懸かる。世代交代の加速に期待したい。