昨年12月から半年間、国際宇宙ステーション…
昨年12月から半年間、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在した米女性宇宙飛行士が、その間、元パートナーの銀行口座にオンラインで不正にアクセスした疑いで米航空宇宙局(NASA)が調査に乗り出した――8月24日付米紙ニューヨーク・タイムズが報じている。
「人類初の宇宙犯罪か」の見出しが効いている。「地球で起きることは宇宙でも起きる」という関係者のコメントを載せ、こんな不祥事ネタにも、宇宙開発のトップランナーを自負し、自慢しているような記事の調子も面白い。
ISSは米国、日本、欧州各国、ロシアなどが関わっている。国際宇宙法では、ISSに属している人や物に対しては、それぞれの国の法律が適用されることになっていて、今回の件も速やかに裁かれよう。
ところが現在、観光やビジネス目的で民間人が宇宙に出向くのはもう間近なのに、ISS以外の宇宙利用をめぐる法的枠組みは十分に整備されていない。これでは宇宙時代到来とは言えない。
宇宙開発は多くの国で推進されている。今年1月、中国は無人探査機を世界で初めて月の裏側に軟着陸させたし、日本も月面探査車の開発を発表した。国家がそれぞれの目標達成を急ぐ中、宇宙開発に関する統一的なルールを定める機会を持てないのが現状だ。
ISSで宇宙飛行士が滞在を開始した2000年当時と比べ、宇宙開発の将来像はむしろ描きにくくなり、混沌(こんとん)としている。