盆踊りの時期となった。この起源については…


 盆踊りの時期となった。この起源については、古代の歌垣の遺風とする説もあるが、念仏踊りが盂蘭(うら)盆会の行事と結び付き、先祖や亡くなった人を供養するための行事として定着したと言われる。

 村々で小規模に踊られるものから、町を挙げての盛大なものまである。日本三大盆踊りと言われるのが、秋田県羽後町の「西馬音内盆踊り」、岐阜県郡上市の「郡上おどり」、そして徳島市の「阿波踊り」。

 郡上おどりは7月中旬から9月の上旬まで約2カ月の間、延べ三十数夜にわたって繰り広げられる。旧盆の8月13日から16日の4日間は夜を徹しての踊りとなり、全国からも多くの観光客がやって来る。

 郡上おどりがここまで盛んになったのは、江戸時代、初代郡上藩主・遠藤慶隆が、領民の融和を図るため、村々で踊られていた盆踊りを城下に集め、「盆の4日間は身分の隔てなく無礼講で踊るがよい」と奨励したためと言われる。

 そういうこともあるからだろうか、郡上おどりは観(み)る踊りではなく、文字通り踊る踊りだ。見物に来た人も踊りの輪に加わる。そのため10種類ある踊りの振り付けも、比較的簡単なものが多い。先日、郡上おどりを観る機会があったが、外国人観光客も踊っているのが印象的だった。

 一方、阿波踊りは「踊る阿呆(あほう)に観る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々」とはいうが、やはり観る踊りだ。観ているだけでも心が躍るシーンが4日間にわたって繰り広げられる。