来年の東京五輪とパラリンピックのメダルは…


 来年の東京五輪とパラリンピックのメダルは合わせて約5000個が用意され、それらは使用済みの携帯電話や小型家電の金銀銅を使って製造される。全国の自治体の9割となる約1500市区町村が協力し2年がかりで回収されたという。

 もう半世紀近く前になるが、1970年代の石油ショック時、日本が官民挙げて行った省エネ運動を思い出した。風呂は家族4人が続けて入る、テレビを見る時は二灯式の照明を半減する(電力会社の奨励策)等々が、各家庭で大真面目に実践された。

 その結果、先進国の中で最も巧みに石油ショックを乗り切り、環境問題への対応で海外から一目置かれるようになった。今回は資源の逼迫(ひっぱく)した事情はなかったが、多くの人が協力した。

 質素倹約、もったいないを旨とする日本人の姿がそこにある。もちろんリサイクル思想の実践であり、生命を失ったものが再び蘇(よみがえ)る“自然の生命の環”の考え方の影響もあるだろう。

 また、メダル用の金属回収についてはこうも思う。五輪は世界一を決め、彼らを讃美(さんび)する場でもあるが、お祭りでもある。日本には祭りが実に多く、その大半は地域の誰もが参加しその輪の中で楽しむことができる。そんな祭りへの思いに似た“みんなのオリンピック”という意思の表明でもある。

 五輪史上初の試み。大量消費、大量廃棄型のライフスタイルは、日本になじまないし、そもそもわが国の伝統ではないのである。