関西空港をよく利用する大学教授が、中国人…
関西空港をよく利用する大学教授が、中国人旅行者のマナーがこの1年ほどで急速に良くなったと言う。しかし、その理由を聞くと喜んでばかりはいられない。中国では街の至る所に監視カメラが設置され、マナーまで監視されている影響だというのだ。
AI(人工知能)の顔認識によって人物が特定され、例えば、交通規則を無視して道路を横断すると違反行為が記録される。実際、中国国内では交通マナーが良くなっているという。
中国のハイテク監視システムがここまできているかと思うと、他国とはいえ暗然とした気分になる。犯罪防止や犯人検挙に役立つことは事実だが、中国の場合、反体制的な人物の摘発、人権弾圧の重要な手段となっていることは疑いない。
英国の作家ジョージ・オーウェルは近未来小説『1984』(1949年刊行)で、同じような監視社会の到来を予言し、共産主義の全体主義体制の恐ろしさを警告したが、中国はそれを超える監視社会を作り上げつつある。設置された監視カメラの数は2億台に迫ると言われ、習近平政権は中国全土を覆う監視体制を整備しつつある。
新疆ウイグル自治区のモスク近くにも設置され、弾圧に利用されている。こうした監視システムを中国は海外に輸出しているが、それが独裁政権の人権弾圧に利用される恐れを指摘する声もある。
中国が覇権を握れば、こんな全体主義が世界を覆うことになる。恐ろしいことだ。