英国の人気スパイ映画「007」シリーズは…


 英国の人気スパイ映画「007」シリーズは「ロシアより愛をこめて」をはじめ1960年代から圧倒的な人気を博してきた。原作者イアン・フレミングは64年に亡くなったが、今もシリーズは続いている。

 主人公ジェームズ・ボンドは英対外情報部(MI6)の工作員。オックスフォード大を出た後、海軍中尉となり、第2次世界大戦で出征。終戦後、情報部の任務に就いた。武術に長(た)け、ウオッカ・ベースのマティーニが大好き。

 6代目ボンド役の俳優ダニエル・クレイグさんは身長178㌢と低くはなかったが、これまでの俳優が長身だったためにイメージが覆され、しかも金髪とあってバッシングに遭い、不評を買った。

 だが、寡黙でタフなボンド役を見事に演じたことで、シリーズ最高興行収入記録を樹立。小紙「『007』は黒人女性」(7月17日付)によると、来年公開予定の25作目でスパイを退任することに。

 この最新作でボンドはMI6を去り、ジャマイカで余生を過ごす。そこへ情報機関の責任者がやって来て「007、入れ」と。黒人女優ラシャーナ・リンチさんがコードネーム「007」として登場する。

 英国では黒人女性が演じることで衝撃が走っているという。女性時代を反映させた抜擢(ばってき)なのか。このシリーズには利害や思想、人種を異にする国々や組織が登場し、その空間の広がりが特色の一つ。かつて世界中に植民地を持っていた英国人ならではの着想だ。