交通・移動、配送手段は自動化技術の開発が…


 交通・移動、配送手段は自動化技術の開発が進み、米自動車大手フォード・モーターは、自動運転車に搭載された二足歩行のロボットが玄関まで荷物を届ける実験に取り組む方針を明らかにした。車の運転や積み荷の運搬で無人配達の実用化を目指す。

 1973年、世界で初めて二足歩行可能なフルスケール人間型ロボット「WABOT-1」を完成させたのは、故加藤一郎早稲田大理工学部教授。早大は97年には人間と共同作業を行う「Hadaly-2」を完成させた。

 気流子も記者駆け出しの80年ごろ、加藤教授の研究室を訪ねてWABOT-1型の実演を拝見した。ロボット開発のモチベーションについて、加藤教授は「人間に限りなく近い機械の追求ですね。それには『二本足』をクリアしなければいけない」と話していた。

  当時、特に西欧の科学者の間には、人間に似たロボット作りに猛反対があった。人間と機械には截然(せつぜん)とした区別があるべきだという考えだった。それに対し加藤教授は「二足歩行のロボット研究によって人間が解明でき、その意味でサイエンスとしての意味は十分にあると思う」と。

 そして、人間の歩行原理、関節の動かし方、筋肉や骨格の動きを研究。AI(人工知能)の開発を含め、人間に似せるという今日のロボット開発の方向性を決定付けた。

 人間社会と共存し、サービスを提供する二足歩行のロボットの実験が、いよいよ始まったのは感慨深い。