東日本大震災で甚大な被害を受けた海岸防災林の…


 東日本大震災で甚大な被害を受けた海岸防災林の再生に向け、宮城県では丈夫で成長が早い「コンテナ苗」を使った植樹が進んでいる(小紙3日付)。

 直径約5㌢、深さ約10㌢の穴が24個開いたコンテナで栽培するコンテナ苗。真っすぐ伸びた主根が地中深くまで差さり強度がある。筒状に密集して張った根が養分を蓄えるため、植樹までの期間は約1年と従来の半分以下だという。

 海岸防災林は強風や飛砂から家・耕地を守るために造成されたもので、津波への対処は想定していない。実際、大震災が発生した時に市街地や農地に津波が押し寄せるのを防ぐことはできなかった。

 だが、その一方で津波のエネルギーを減少させ、破壊力を弱めて船や車など漂流物を捕捉。2次被害を防ぐという大きな役割を果たしたことが分かった。今後の津波などの自然災害で被害の最小化を図るために、海岸防災林の再生が急がれているのだ。

 海岸管理の在り方を検討してきた国土交通省の有識者委員会が昨年末、陸側に防災林を配置した「緑の防潮堤」による堤防整備を提案した。やはり林が津波の力を抑え、津波の到達時間を遅らせる効果を狙ったものだ。

 江戸時代、漁民も為政者も海岸近くの森林が魚を寄せるという「魚つき林」の伝承を信じ、伐採を禁じたり、植林を行ったりした藩もあった。「減災」のための植樹が全国に広がることを望みたい。