世界的に絶滅が危惧されるウミガメ。日本…


 世界的に絶滅が危惧されるウミガメ。日本でも沖縄はじめ各地の海岸にウミガメの産卵場所がある。三重県で、ウミガメの保護団体「ウミガメネットワーク」の米川弥寿代さんの話を聞く機会があった。

 同ネットワークが活動範囲にしているのは、四日市市から津市にかけての砂浜。毎年5月下旬から産卵のためにウミガメが上陸し始めるが、今年はまだ産卵を確認していないそうだ。

 米川さんが一番力を入れているのが、ウミガメの上陸の情報を得ること。地域の人々にウミガメの足跡発見の情報提供を呼び掛け、情報が寄せられると、そこに駆け付け卵を探して保護の対策を講じるのだ。

 情報は砂浜に散歩や釣りに来た人から寄せられることが多いという。「ウミガメ保護も情報戦」(米川さん)なのだ。

 浦島太郎の物語にも亀が登場する。「丹後国風土記」や「日本書紀」に浦嶋子の物語があり、どちらも捕らえた亀が妙齢の女性に変身する。浦島が亀の背に乗って竜宮へ行って乙姫の歓待を受けるのは、子供たちが亀を虐めているのを、買い取って助けてあげたのがきっかけだ。このパターンは、戦前の「尋常小学国語読本」などで広く流布するようになった。

 日本各地に浦島伝説があるが、かつて各地の砂浜でウミガメの産卵が多く見られたことの反映ではないか。生存数の回復、それを可能にする海や砂浜の環境回復を成し遂げ、産卵が普通に見られるようになれば、どんなに素晴らしいだろう。