神奈川県の箱根は世界中の地質学者たちが…
神奈川県の箱根は世界中の地質学者たちが注目する「火山の博物館」。複数の火山が集まって形成されたからだ。それらの山は40万年前から現在まで五つの時期に分けて成立が考えられている。
火山は地球内部のマグマが地表に出てくることでつくられるが、噴火のタイプやマグマの粘り気により、火山の形もさまざま。最も古い明神ヶ岳は成層火山で、外輪山ができた後にカルデラ内に生まれた屏風山は溶岩台地だ。
さらに、後期中央火口丘にある二子山は溶岩ドーム。丸岳の西の山は火砕丘だ。最後のマグマ噴出でできた冠ヶ岳は火山岩尖(がんせん)。五つもの違ったタイプが観察できる。
石のパラダイスでもある。土台で見つかるのは凝灰角礫(かくれき)岩、外輪山で見られる玄武岩と安山岩(板状節理)、前期中央火口にあるデイサイトと黒曜石、そのほか東京軽石や後期中央火口丘・神山の安山岩なども。これらは、箱根ジオミュージアムでの展示の一部だ。
一方、気象庁は火山活動が高まったとして、箱根山の噴火警戒レベルを1(活火山であることに留意)から2(火口周辺規制)に引き上げた。大涌谷周辺では噴気活動が続いていて噴火の可能性があるという。
箱根ロープウェイは全線で運転を休止し、バスで代替。小規模な噴火が発生した2015年以来、かつて行列ができた玉子茶屋への道は通行禁止となり、観光客の視線は隣の大涌谷に向けられるようになった。地球の荒々しい息吹を感じさせる場所だ。