時々電車が遅れる。最近体験したケースでは…


 時々電車が遅れる。最近体験したケースでは、遅延理由の説明として「お客様対応」というのがあった。言い換えれば「乗客に対応したので遅れた」となる。

 鉄道会社が乗客に対応するのは普通のことだから、遅延の理由の説明として「お客様対応」は曖昧だ。遅延の真の理由は、問題行動を起こした乗客に鉄道会社側の誰かが対応したということなのだろう。電車の遅延につながる程度のトラブルが発生したということだ。

 「お客様トラブル」というのは聞いたことがある。要は客同士のケンカ(特に混雑時)で電車が遅れたという話のようだが、「お客様対応」よりは具体的だ。

 「車両点検」という遅延理由も多い。普通、電車は点検を終えてから車庫を出るのだろうから、乗客を乗せて運行している段階で点検するはずがない。

 点検せざるを得ない事態(小規模な故障・事故)が発生したから、わざわざ電車を止めて点検したのだろう。点検以前に故障が起きているのだから、点検を理由にするのでなく、故障や事故を理由にするのが適切なのだが、故障・事故といった用語は語感がいささかドギツくて、会社としては使いにくい。

 使いたくない気持ちは分かるが、その種の発想が一般化し過ぎると「実際にあったこと」が見えにくくなる。事実を糊塗するような流れはいただけない。その辺のバランスも、鉄道会社を含めたあらゆる社会的集団にとって思案のしどころだ。