英国のロックバンド「クイーン」のギタリスト…
英国のロックバンド「クイーン」のギタリストで、天体物理学の博士号を持つブライアン・メイさん。探査機「はやぶさ2」の小惑星「りゅうぐう」への着陸成功に、ツイッターで「素晴らしい成功だ」と英語で称(たた)え、ローマ字でも「Subarashi des’!!」と書き添えた。
ニュートンを輩出し、この間、近代科学のあり方を示してきた英国。その国からの、日本の技術の高さと成熟への祝福のようで、とてもうれしい。
わが国の宇宙への道のりは決して平坦(へいたん)ではなかった。2000年前後、宇宙開発の意義は見失われがちで予算も削られ、H2ロケットの打ち上げ失敗で技術陣の信頼失墜も小さくなかった。
その後の機構改革で示されたのが低予算・高技術の宇宙開発、そして小惑星探査という目標。現在、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の予算は約1800億円で、宇宙開発に掛ける資金では米国や中国の10分の1にも満たない。そんな中、はやぶさ2の総事業費は289億円で、小惑星探査で存在感を発揮し、独自の宇宙開発パターンを示した。
19世紀に電磁誘導を発見した英国のファラデーは、当時の財務相に「電気にはどのような実用的価値があるのか」と問われ、「何の役に立つかは分からないが、あなたが将来、それに税金をかけるようになることは間違いない」と、功を焦る政治家の追及をかわした。
今のところ惑星探査も必ずしも実利は伴わないが、宇宙開発の夢は大きい。